人柱観音供養塔(ひとばしらかんのんくようとう)

市指定有形民俗文化財 平成21年9月30日指定

人柱観音供養塔の画像

 観音供養塔は砂岩製で、宝珠・笠・龕・中台・竿よりなっている。龕部は笠をはさんで上中下3段に別れ、各11体の観音像が刻まれている。供養塔の風化を防ぐため人柱地区の観音堂にて大切に保存されている。常時見学が可能である。
 伝説によれば今から約300年前江戸時代の初め頃、当時は今福小学校の下からMR今福駅の奥まで海が入り込み潟となっていた。時の領主丹後守松浦信貞公はこの干潟を埋め立てて新田を造ろうと思われ、家臣の田代近松という人物にこの工事の監督をあたらせた。工事は海潮に侵され、幾度堤防を築いても崩壊し工事は頗る難工事で進捗しなかった。「堤防の崩れること数度、工事の完成しないのは海神が埋め立てを欲しないからであろう。だれか人身御供となり、海神に捧げれば堤防工事は完成するだろうと住民に相談したが互いに災厄を避けようとして誰一人申し出る者がいない。困った田代氏は、お互いに着けている袴に横ぶせをあてている者があればこの犠牲者と定めよう。」と提案し、住民も従った。袴を調べたところ横ぶせをあてたものは田代氏のみであり、田代氏は生きたるままの身体を白犬と共に堤防に埋められた。田代氏の人身御供の犠牲により堤防も完成し、埋め立て工事も竣工した。この埋め立ての犠牲となり、悲惨な最期をとげた田代氏及び白犬の霊を慰めんと、この観音供養塔を建ててその冥福を祈っている。

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更新日:2019年04月01日