熊野神社旧本殿(くまのじんじゃきゅうほんでん)
市指定有形文化財・建造物 平成21年9月30日指定

江戸初期の形態をよくとどめている本殿であり、棟札の慶安3年(1650)ともよく一致している建造物である。土台上に立つ向拝柱が円形であること、水引虹梁・繋虹梁の曲線に特徴があるなど地域性を示している。木鼻は中世的な力強さがまだ残っており、龍が口を開いた形をしている。目の彫り方も力強い。かつては柱・長押・虹梁・縁・扉・天井絵等すべてに朱塗りされていたようであるが部分的に剥落している。扉の表には鳳凰が描かれていた痕跡が認められる。
熊野神社は、長医光栄なる修験僧が、元和8年(1622)に平戸市田平町の熊野神社の御分霊を奉持し、現在地に祀ったといわれている。
長崎県内においては、古い時代の神社建築が残されていないことから当本殿は、当時の設計方針まで把握できる重要な建造物である。
旧本殿は、熊野神社神殿横に建設された倉庫の中で保管されている。
更新日:2019年04月01日